てんかんのお話
人間に比べると犬はてんかんを起こすことが多い動物です。「犬がけいれんしている!」「犬が発作をおこしている!」ということで、慌てて病院に駆け込んで来られる飼い主さんはそんなにめずらしくありません。たいていのてんかん発作は1~2分でおさまってしまうことが多いので、病院に着く頃には、ワンちゃんがケロッとして何事もなかったような様子というのもよくあることです。しかし20分以上発作が続いておさまらない場合は緊急事態と考えてください。すぐに動物病院を受診していただき、注射などで発作を止める必要があります。
てんかんは脳の問題として起こるものですが、軽い症状から、倒れて強くけいれんするものまで症状はさまざまです。もちろん脳以外の原因でけいれん発作が出る場合もあります。低カルシウム血症や低血糖や中毒などです。また心臓が原因で失神してしまうような場合も、発作と認識されがちです。てんかん発作なのか、それ以外の原因によるけいれんなのかを診断するのが獣医にとってはとても大事なことだと思います。
てんかんの話にもどしますが、てんかんは大きく2種類に分類されます。特発性てんかんと症候性てんかんです。
特発性てんかんは、原因がはっきりしないが、繰り返し発作を起こすものです。遺伝的な要因が考えられます。症候性てんかんは、何らかの脳の異常があって、その症状としててんかん発作がみられるものです。脳外傷、脳腫瘍、脳炎などが含まれます。
治療が必要なてんかんの目安としては、1か月に1~2回以上必ず発作が起こる場合や、1日に何回も発作を繰り返す場合、あるいは長時間発作が止まらない場合などです。原因が何であれ、抗てんかん薬の継続的な投与が必要です。
てんかんの原因をつきとめるためには、血液検査や場合によってはMRI検査などが必要になりますが、まずは動物病院にご相談ください。当院でも、抗てんかん薬を飲みながら普通に生活しているワンちゃんが何頭もいます。てんかんはそんなにめずらし病気ではないんですよ。